(1)副鼻腔炎に対する手術の分類

副鼻腔炎の手術は昔から様々な手法で行なわれてきました。現在おこなわれている一般的な方法は大別して3つに分けられます。


  1. 上顎洞篩骨洞根本手術(Caldwell-Luc手術など)
    口の中を切って頬の骨を削り、上顎洞の粘膜を完全に摘出し更にここを経由して篩骨洞に入り、病的粘膜を完全に摘出する根治手術。

  2. 鼻内手術
    鼻の穴から鼻の中の襞の間に分け入って上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞と鼻腔の 交通路を開くことにより、術後の鼻腔へのネブライザー療法の効果を高め、徐々に粘 膜の病態が改善することを期待する方法。

  3. 鼻外手術
    前頭洞など鼻腔との交通路が非常に狭く比較的長い場合に、顔面の皮膚を切開して直接洞の外側の骨を削って洞内の病的粘膜を摘出する根治手術。


(2)各手術法の長所・短所

  1. 上顎洞篩骨洞根本手術(Caldwell-Luc手術など)

    • 長所:重症の副鼻腔炎に効果大。副鼻腔の他疾患(悪性腫瘍など)が合併していた場合容易に発見でき、その後の治療に繋ぐことができる。

    • 短所:術後の痛み、顔面の腫れなどが比較的強い。出血が多い場合がある。入院期間が長い。術後に上唇の感覚麻痺が残ることがある。粘膜を摘出してしまうため副鼻腔の本来の生理的機能を失う。十数年後に術後性頬部嚢胞が高い確率でおこり、再手術が必要になることがある。

  2. 鼻内手術

    • 長所:術後の痛み、腫れが無い。全身にかかる負担が少ない。術後の顔面の感覚麻痺は皆無。粘膜を摘出しないため、鼻の本来の機能を失うことなく治癒に導くことができる。術後性頬部嚢胞が生じる可能性が極めて低い。

    • 短所:狭い鼻腔の中で操作しなければならないので高度な技術が要求される。深い部分を直視できない(内視鏡を用いれば別)。重症例には向かない。たびたび補正手術が必要である。

  3. 鼻外手術

    • 長所:a)と同じ
    • 短所:a)の内容に加え、顔面に傷が残る(眉に隠れる部分もあるが)

(3)内視鏡下副鼻腔手術について

以前と違い、最近は重症の副鼻腔炎は減ってきています。その点で、内視鏡下の手術で完治が望める場合が増えてきています。また、内視鏡下鼻内手術は局所麻酔で行なえるため、入院も場合によっては不要であるという利点があります。時間的経済的に患者さんのメリットは計りしれないものがあるでしょう。内視鏡での手術を行なうことができる医師は徐々に増えていますし、機関も各都道府県に数箇所は必ずあると思います。東京は沢山の大学病院がありますし東京慈恵会医科大学のようにこの分野で権威のある病院がありますから、やはり中央(いやな言いかた)はいいですね。 当院では、その日のうちに帰れる内視鏡下鼻内手術を行なっています。ただし上に書いた通り、対象になる方は限られています。手術をできる方は以下のような方です。
  • 軽症から中等度の症状の方で手術が必要と思われる方
  • 当院、あるいは他の耳鼻科にしっかり通院できる方
  • 基礎疾患が無いか、あるいは軽いもので手術を受けることを該当疾患の主治医が認めた方
  • 麻酔薬、その他の薬剤にアレルギーの無い方

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