TONY LEVIN'S 'UPPER EXTREMITIES TOUR' Diary
December 1 - December 9, 1998

Bill Bruford on drums, Tony Levin - bass,
David Torn - guitar, Chris Botti - trumpet.

Dec. 1 - Woodstock NY - Joyous Lake
Dec. 2 - Philadelphia PA - Theater of Living Arts
Dec. 3 - New York - Bottom Line
Dec. 4 - New York - Bottom Line
Dec. 5 - Cambridge MA - House of Blues
Dec. 6 - Cambridge MA - House of Blues
Dec. 8 - Pontiac MI - 7th House
Dec. 9 - Chicago IL - Park West

UPPER EXTREMITIES TOUR PHOTOS

Bill in Woodstock club  Chris and David  David and Bill  David and his electric Oud  The Woodstock Experience  The crowd in Philadelphia  A colorful New York audience  The Famed House of Blues Bread Pudding  Bill at the hotel  Bill reads on-air copy at WDET  Chris on the air  David Torn on-the-air  The Chicago audience  The band - one last time  The final bow from the UPPER EXTREMITIES Tour

UPPER EXTREMITIES TOUR DIARY

Woodstock NY, Nov. 30 - Day O

Bill (Bruford)が昨夜ロンドンから到着し、Chris (Botti)もニューヨークから到着しました。それで、3月に終わったツァーの続きをやる準備ができました。 ここWoodstockのThe Joyous Lakeは明日の公演のリハーサルのためにクラブを僕たちに開放してくれました。同じ場所でリハーサルできるのはとてもめずらしいことで、一日の仕事が終わって機材を全部片づけて、また翌日サウンドチェックから始めるなんてことをしなくていいので、とても助かります。 Robert Frazzaはまた音響を担当し、Paul Schiavoはモニターをやります。 前回営業を担当した(僕らをホテルのトラブルから何度も救ってくれた)友人のMikeは今回参加してもらわないことになったので、各会場のクラブでCDを売るかどうかは会場に選んで貰うことにしました。

リハーサルでは、驚いたことに僕たちは皆自分のパートを覚えていましたし、 前回のツァーのテープを聞くことができました(特に、Knitting Factoryでのインプロヴィゼーションはすばらしかった)ので、各曲のインプロヴィゼーションをどうやったか思い起こすことができました。 彼らとまたやれるのはすばらしいことで、ツァーに向けてのムードも盛り上がってきてます。今回はツァーの為に前ほどは宣伝をしませんでした。それで、前ほど最初の公演の前にへとへとに疲れ果てているってことはありません(前回は、ツァーの前だろうが最中だろうが、会場に向かって車を運転している時だろうが、公演の前のバックステージでもインタビューを受けてましたから)。 もちろん今回は新しくCDを出したわけでもないので、プレスに対して新譜のお知らせをしなくてはならないという緊急性もないという違いはあります。

David (Torn)と僕は最初の公演地の地元の町に住んでいるのですが、僕らは明日の公演で「ゲストなしポリシー」を設けることにしました。さもないと全ての聴衆がお金を払わないことになってしまいます。それで、僕の妻と娘もお金を払わないと入れないことになるのはちょっと変なかんじ。

ディナーには"the Cafe"へ皆を連れていきました。ここは地元の人間だけが知っている小さくてステキなレストランなんですが、外からやってきた人が見つけてどっと押し寄せるのは望んでません。だって、座れるテーブルを見つけられないと思うんです。 (じゃぁ僕は何故インターネットでお知らせしてるんだろう?)

この公演ではビデオを撮るつもりでいます。というのは、いつか二つの公演の二枚組のライブCDを出す目論みをしてるんですが、それをエンハンスドCDにして、バックステージや旅行での様子をビデオで入れたいと思っているんです。 それで、今夜はデジタルカメラとビデオカメラのバッテリーを充電して、おまけに9日間の忙しい日に向けて、自分のバッテリーも充電しなくてはと思ってます!

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Woodstock NY, Dec.1 - 初日

ツァー最初のギグはたいていトラブルが多いものです。 リハーサルをしていたとしても、まだグルーブに乗り切れず、音の面ではステージ上でうまくいかなくて、平気で黙々と演奏し続けられる程には、まだ曲に慣れきっていない状態。でも、それはとても新鮮で、新しいアイディアが沸いてくる。これが今夜の公演の状態でした。 まず第一に、僕とTornのホームタウンでの公演でしたので、聴衆の三分の二は知り合いでした(BillはまるでDavid Tornのクリスマスパーティみたいだって言いました) それに、このthe Joyous Lakeという場所では、おそらく僕はここで過去30回ほど演奏してるに違いありません。お手洗いでは、トイレを使っていると、いやでも目にとびこんでくるポスターがあります。それは僕が70年代初期に演奏していたバンドの写真で、…なんという昔だろう、まだ僕に髪の毛がありました! とにかく、ここはなじみの場所なんですが、ステージで演奏するのはちょっと簡単じゃないんです。(バンドの半分は他よりも低くなっている天井の下にいるんです) それで、Davidのペダルボードが彼に悪さをしたときには僕たちは案の定大混乱になりました。それに、Chrisが僕のそばに近づいてきたときには、僕のベースの音が彼のトランペットにつけてあるマイクに入ってハウリングしたりもしました。 それにもかかわらず、公演はとても良い出来でした。

良い出来だった曲は、以前にやったインプロヴィゼーションで、前回のツァーの Knitting Factoryでのギグでのものなんですが、親切な方から送っていただいたブートレッグから我々が聞いてやったものでした。このときは僕たちがすごくうまくいったと感じた公演だったんです。音楽的には。それで、録音したものを聞こうと思ったところ、全部のADATが動いてなかったんです。僕はネット上で当日のテープを誰か録っていないかお尋ねして、二三、送ってきて下さったんです。 現在、このコンポジションを僕たちは"Ba Boom Boom"と呼んでます。なんか別の名前を考えなくちゃね! このセットの一番好きなところは、僕たち全員が演奏を止めてたところにDavidがエレクトリック・ウード(訳注:アラビアのリュート、マンドリンに似た楽器。写真参照)の長いソロが入るところなんです!表現しにくいんですが、素晴らしいんです。 いずれにせよ、明日はPhillyまでドライブして、音響のとてもいい劇場での公演です。じゃ、すぐにまたお会いしましょう。

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Philadelphia, PA, Dec.2 - 二日目

実は、バンドの他のメンバーはこのバンドの名前を"Upper Extremities"と呼んでいますが、僕は"BLUE"(これはアルバムのタイトルのBruford Levin Upper Extremitiesから)と習慣で呼んでいます。 それはともかく、WoodstockからPhillyまで車で移動したあと、ざっと短くサウンドチェックを切り上げて、Billが今関わっている、新しいBrufordモデルのスネアドラムの写真撮影ができるようにしました。このTheater of Living Artsという会場はWoodstockのクラブよりもはるかに大きくて、音のセッティングは全然変わりました。ここの方が音響的には簡単で、うまくいきました。 これ以上詳しく書くにはちょっと僕は疲れすぎてるみたい。 (午前2時に書くことを続けるとしたら、この手紙は全部疲れた様子に見えてしまうかもしれません!) 明日はニューヨークでのBottom Lineでの2晩の公演に向けて出発します。

僕の本から新しいお話を追加しました。 この話は、本の中の他の沢山の話が触れているように、Peter Gabrielバンドについてのものです。僕がこの章について、以前のバンド仲間だったLarry Fastに話していたとき、("The Great French Fry Race" - これはずいぶん昔にロンドンでレコーディングをしていたときにおきた変てこな出来事です)彼はまさにその出来事の写真があるのを思い出しました。それで、本の中にも僕のスケッチでその時の様子を載せておいたけれど、 この時の写真が置いてあるLarryのページにもリンクを張っておきます。
またそれとは違った話ですが、明日(木曜日)、VH1はJohn Lennonの"I'm Losing You"のビデオを放送します。果たしてあの風船のシーンは、(そして僕の映像は)最終バージョンに映ってるんでしょうか?

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Philadelphia, PA, Dec.3、4 - 三、四日目

ヒュー、昨夜はすごく疲れてて日記が書けませんでした。フィラデルフィアからニューヨークまでのドライブは驚くほど楽でした。着いてから集中的にサウンドチェックをやりました。ハウリングをおこすという、ずっと続いていた音響のトラブルを解決しなくてはならかなったんです。それで今日もやっかいなサウンドチェックをやらなくてはなりません! 昨夜の公演の前は他のことで色々忙しかったせいで、実は写真を撮るのを忘れてしまいました!(忘れたことは他にもあって、公演が始まってから2曲目にスティックを弾く段になって、ストラップを楽屋に忘れてきたことが分かりました。 "Deeper Blue"がトランペットで始まって、僕はNS アップライトに持ち替え、 ペダルボードでインプットをスティックから切り替えるのを忘れてベースの音の出だしは静寂でした!"Cerulean Sea"の時はファンクフィンガーを使っての演奏と歌うので忙しくて、ファズのスイッチを切り忘れた上、それをオフにする暇がありませんでした!)

以下のギグレビューはパパベアに届いたもので、とてもチャーミングだと思いました。 10歳の娘を連れてきた男の人からのものです: 「…Chris Botti はメインセットの間に彼女を見ていたらしく、アンコールが始まるとき彼がやってきて公演の間何をしていたのと尋ねました。これが彼女の晩を決定しました…彼女のギグレビューは、タイトな黒いスラックスをはいた*すっごく*キュートな男の人が*彼女*に話かけ、彼が向きを変えたとき、なにか(見えちゃいけないもの)が見えた...Oooh! 彼女は長い髪の男の人がやった音楽はあんまり好きじゃなかったけど上手みたいだった。バギーパンツをはいたハゲた人のベースの弾き方が好き、ということでした。 ブルフォードについては何も言ってませんでした。」

まぁ、このバンドレビューのあとでは僕はこれ以上言うことないね!

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Boston, Dec. 4 - 五日目

まだ公演はやっていませんが、Cambridge House of Bluesでのギグの最高の瞬間はサウンドチェックにやってきてすぐ現れました。僕が言っているのは、そう、もちろんこの店が出している有名なパンプディングのことです。 前回この場所で公演したとき、僕たちはこれにイカれてしまい、またここにくることが決まった時から、どうやれば二回の公演(それぞれに)でこれにありつけるか、また、食べた後で演奏できるかを考えていたものです(食べた後立ち上がれるかどうかさえ!)面白いことに、前回はDavid Tornがこれを注文したあとでギターを直しに席を外したんですが、戻ってみると、彼の分は…もうありませんでした。誰が食べちゃったか…定かではありません。きっと、残りのみんなが少しずつ齧ったんでしょう。とにかく、彼はこの何ヶ月というものこれ以上待てないというくらいに食べたがってたんです。 レシピが変わっちゃってる…バナナとホワイト・チョコが入るようになった… のを知って心配したけれど、(なんで変えたんだろう。完璧だったのに) それでもCambridgeの思い出に残るような素晴らしいプディングだった。

金曜のニューヨークのボトムラインでの公演は全くの大成功でした。大変な満員で、 僕たちは最高の演奏をしました。一部の人ごみを好まない人を除いては、皆大変このイベントを楽しんでいました。(この人ごみの嫌いな人の一人は仕返しをしようと、出ていったあとでこいつらを追い出してやれとニューヨークの消防を呼びました…消防士が到着して、彼らは幸い公演を止めはしませんでしたが、その後から来た相当の人数は中へ入ることが出来ませんでした。 消防を呼び出したのは信じられないことにバンドが招待したお客の一人だった。 もう彼だけは絶対招待しないだろうね。)

ことによると、ニューヨークで演奏した一番楽しかった曲(今回はコンポジション)は、昨年のKnitting Factoryでの公演でのインプロヴィゼーションから生まれた曲だったかもしれません。これは親切にもある人が...えぇ...公演を密かに録音していたもので、僕たちに送ってくれたので僕たちはこれを参考に曲を完成させることができたんです。現在ついているタイトルは:"Untitled"。

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Detroit, Dec. 8 - 八日目

はいはい、わかってますよ、確かにここんところ何日かダイアリーをさぼってます。別に書くことがなかったわけじゃないんですけど、一息つきたかったんです!Cambridgeの二回目の公演は素晴らしかったんです。 そのあと、僕たちは初めてのオフの日で、僕たち三人はデトロイトに飛びました。 - 華氏70度のボストンにBillを残し、素敵なショッピングやHarvard Squareでの素晴らしいコーヒーを放棄して…。 僕たちは、彼と一緒にその日はボストンにいたほうがよかったんじゃないかと思いました。デトロイトの空港の外で、華氏38度の中、夕方近くなっていつまでたっても来ないレンタカーのバスを待ちながら選択を誤ったことを悟りました。 でも、ご心配なく。その晩は旧友のMarkとLeeが、素敵なインド料理の店に連れていってくれて、休日の夜をゆったりと過ごすことができました。 さて、今日はBillがボストンからやってきて、地元の素敵な公共ラジオ局のWDETに出演して、Martin Bandyykeから僕たち4人への長いインタビューを受けました。 インタビューするどころか、僕らの曲を単にかけるだけのラジオ局だって珍しい状況だから、とても感謝してます。(僕はミュージシャンがそれぞれ局の運営資金の寄付募集の文章を読んでいるところを撮りました)

旅行している間、David Tornは僕がバンドに関してあれこれ問われることを避けるにはどうしたらいいだろうと思ってるのを見て、Upper Extremitiesに関する面白い模範的会話例(一部はフィクションですけど)を作ってくれました。 これって僕がこれまで見た中でベストの表現だと思います。

「バンドをやってるんですか?」
「ええ。でも僕らのこと聞いたことないでしょ。」
「どんな音楽をやってるんですか?」
「まだ名前がついてるようなジャンルじゃないんです」
「CDは出してらっしゃるんですか?」
「ええ、でもあなたは見つけられないと思いますよ」
「この町で公演されるんですか?」
「ええ、でも売り切れです。」

ポンティアック(デトロイトの近く)での公演はすばらしくって、すごく熱狂的な聴衆がきてくれました。 公演の前が忙しかったんで、舞台の袖にカメラを忘れて聴衆を撮ることができませんでした。(ボストンではバッテリーが切れかけてて、フラッシュが暗かったんです。 今回僕は全ての公演の聴衆を撮ろうと思ってたので、残念!) それにしても、この会場はアンコールが終わっても舞台のライトを落とさなかったので、聴衆は拍手を続けていました。僕たちは用意した曲を全部やってしまったのでこれ以上やることがなかったんですけれど、このまま帰ることはできないようだったのでバンドは仕方なく舞台に戻って"Frosty the Snowman"のインプロヴィゼーションをChrisが始め、Tornはギターをそれに絡めてハウらせ、Brufordはドラムセットの周りを走り回り、僕はファズをかけてスティックを弾きました。で結局デトロイトの聴衆が最後に聴かされたのは、現代的インダストリアル、脱-構築されたフロスティ(訳注:雪だるまのこと)っていうか・・・ポークパイ・ハットは潰れてて、鼻のニンジンもぐちゃぐちゃ、顔の木炭も燃えかすで、あちこち雪が溶け出している状態。 でも一つ言えることは、これでアンコールの拍手を止められたんだから!

P.S. - Caroline Brufordは最近コンピューターを使い始めて、英国からこのサイトに彼女の夫がどうしているか知るためにアクセスするようになりました。それで、あなたの夫の写真を載せるよ、Carolyn、彼は元気でやってるし、もう二、三日したら帰るからね!

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Chicago, Dec. 9 - Day 9, the last show

あらまぁ!僕はこの短いツァーが終わってしまって、毎日(えーっと、ちょっと抜けてはいるけど)Webに日記をつけるのも終わってしまって悲しい気がします。 沢山の方から公演で反響をいただき、バンドがどういう成長をするのか楽しんでもらったようで、喜びを共にできたことはとても楽しいことでした。 当然のことながら、公演は上出来でした。ここPark Westはどこよりも素晴らしいクラブの一つです。 聴衆もすばらしくて、ここでのCDの販売はこれまでの最高を記録しました。 (あいにく手持ちの本が売り切れる寸前で、この日は売店で3冊しか売ることが出来ませんでした) 僕たちはアンコールではTornの"Cloud About Mercury"というCDから"Three Minutes of Entertainment"だけを演奏し、"Frosty the Snowman"をやることはもう繰り返しませんでした。楽屋で僕たち全員の記念写真を撮って、それから舞台に最後の挨拶をしに出ていくところも撮りました。

さて、今は(木曜の朝)僕たちそれぞれが違うところへ発とうとしてます。 元ニューヨーカーのChris Bottiはロスに引っ越しするので、僕やTornと一緒に東へは向かわず、ロスへ向かいます。Billはロンドンへ帰り、一月にEarthworksバンドのツァーで合衆国の西部を回る準備をします。Davidは映画音楽の仕事があるし、僕は少し休暇を貰ってLiquid Tension の公演の練習をしたり、僕の本を書店に置いてもらうようにしたいと思っています!しばらく毎日アップデートすることはないと思いますが、また楽しい話題を載せるまでそんなに長くはお待たせしないと思います。

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