ローレンスこと大賀 賢一郎氏の
キング・クリムゾン
ロンドン公演レポート

July 3 , 2000

(Tony Levin Club of Japan 英国支部発)


英国では今のところ唯一のライヴ会場であるShepherd's Bush Empireは、道路をはさんでShepher'd Bush Greenという公園に面して建っています。
Shepher'd BushはHolland Park Avenueの西端で交差するM14という道路をこえた辺りです。
UndergroundでいうとZONE2になり、Hammersmith & City線およびCentral線にShepherd's Bush 駅があります。
今回私はウェールズへの鉄道が出入りするPaddington 駅の周辺に宿を取っていたので、そこからならHammersmith & Cityを使った方が直にいけるのですが、たまたまライヴ会場に出向く前に Victoriaに出ていたために、Circle線でNotting Hill Gate に行き、そこでCentralに乗り換えてShepherd's Bushに降り立ちました。

地図で見るとよくわかるのですが、Shepherd's Bush Greenは直角3角形のような形をしてまして、東が30度の頂点となっている感じです。
Hammersmith線の駅はこの公演から北西へちょっとはずれたところにあるようなのですが、Central線の駅はちょうどこの30度角のすぐそばに出てきます。

ところで、チケットにはShepherd's Bush Greenとしか住所が書いていなかったため、まず探さねば鳴りませんでした。
この公園の周囲であるには間違いないのですが、公園がそこそこ広いためにぐるっと一周回ってみるべきかどうかを公園を歩きつつ思案していたところ、
ProjeKct TwoのTシャツを着た兄ちゃんとその彼女が歩いているのを発見したので、声をかけて場所を訊くことにしました。
なんか、お互いに苦笑いをしながらでしたが、ちゃんと教えていただきました。

西側の三角形の辺になっているところにあるShepherd's Bush Empireに着いたのが、6時ごろでした。開場は7時でしたが、すでに座席組と、スタンディング組にわかれて列が出来ていました。列をなすのが好きな英国人ぶりがここで発揮されているようでした。私は不幸にもスタンディングでしたので、早速並びます。
ざっと客層を眺めてみると、老若男女がそろっていました。私のちょっと前にい た20代前半っぽい女性は、てっきりカップルか友人連れで来ている人かと思ったのですが、周りの男性らと話をしていなかったのでどうやら一人で来ていたようです。結構珍しい感じがして新鮮でした。新鮮と言えば、観客にはイングランド人っぽい人が多いのですが、中には東/西アジア系風の人もいたり、黒人の人も一人見かけました。ピーター・ガブリエルならともかく、クリムゾンってあまり黒人の人のイメージが無かったので、素直に感動しました。

イングランド人っぽい人らは、月曜日なだけに仕事帰りのような人もいましたし、ヒッピーの残り香をぷんぷんさせている人もいました。列の前の方に、フリップとブリューを足して3で割って余り1のような顔と頭髪をした、黒のスーツでびしっと決めた長髪のおっちゃんが腕組みをしつつ色々と論じていました。

周りには当然のようにダフ屋が数人おり、チケットを売っていました。
買う人もちらほらいたのですが、商談が成立すると、あるダフ屋のおっちゃんはとても嬉しそうなニコニコした顔になるのが印象に残りました。

並んでから1時間がたった午後7時過ぎにドアが開き、チケットをきられた後、かばんのチェックを受けます。私のリュックはちょっとでかい上に色々と入っていたものですから、中身を調べられつつ怪訝そうに 'No camera?' と訊かれたりしましたが、そもそもカメラが無いので、問題ありませんでした。

スタンディング組と座席組は入り口からして分かれていて、中も入ったところからすでに仕切られています。
入ってそのまままっすぐ進むとすぐに会場で、入って正面にBar、右手にマーチャント、左手にクロークとなっています。Barの後ろからちょっとフロアが低くなっており、その低くなっている部分の両側にもBarがあります。
ステージとその低くなっているフロアとはちょっと間を空けて柵で仕切られているのですが、かなり近くで見れるようになっていました。

会場の構成としては、地上階 (Ground Floor)がスタンディング、1階(1st Floor)から 3階(3rd Floor)が座席です。中はまさにミュージカル名雰囲気のある会場でして、装飾もそういった感じでまずまず荘重ににあしらわれていました。
スタンディング・キャパシティは、P2日本ツアーのときのUmeda Heat Beatよりも、少ないように思いました。

また、BootlegTVスタッフがカメラ撮りしていましたので、いずれ BTVの方で公開されるかもしれません。

私は、とりあえずマーチャントで、プログラム、TCOLとクリムゾン・キングのTシャツ、ProjeKct XのCDを買い求めて、スタンディングの場所を確保しました。
結局、ブリューのスペースのすぐ前で、フリップの指使いをもばっちり見える角度の、前から3〜4列目ぐらいのところに立っていましたので、良い方だったと思います。 (もっとも、スタンディングなので、時間の経過と共に状況は変化していくのですが)

思ったより前振りが長くなってしまいましたが、セットリストです。

1. Into the Flying Pan
2. The ConstruKction of Light
3. Vrooom
4. One Time
5. ImProv.
6. ImProv. [Seizure?]
7. Dinasour
8. The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum
9. ImProv. [ProjeKction?]
10. ProzaKc Blues
11. Cage [Ade played the acoustic guitar]
12. Larks' Tongues in Aspic Part IV
13. Coda: I Have a Dream

Encore 1.
14. Three of a Perfect Pair [Ade's acoustic solo]
15. Deception of the Thrush [Played by Fripp, Gunn, and Mastelotto]

Encore 2.
16. Sex Sleep Eat Drink Dream
[エイドリアン・ブリューの挨拶]

Encore 3.
17. Heroes [Original by David Bowie]

Fin.

注意:
*え〜、スタンディングで意識が朦朧としていたので、余り良く覚えていません。

*'ImProv.' と言うのは、ProjeKct 3/4/X風のインプロヴィゼイション要素の強い
曲と思ってください。もはや曲の識別が出来ません。

*ひょっとすると、もう一曲そういう感じの曲があったかもしれませんが、無かっ
たかもしれません。なんにせよ、正しい情報は、いずれ出るであろうオフィシャ
ルな、もしくはそれに準ずる情報源からのセットリストを参照してください


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6月30日付のフリップ日記で、「今夜はFraKcturedはなし」 と書かれていましたが、今回のライヴでもセットリストのとおり、FraKcturedはやりませんでした。
私はパリで聴いたので、残念ではあるものの 「うーん、まぁ、仕方ないなぁ(苦笑)」という感じなのですが、 Exclusive only UK なライヴであるこの日にやらなかったのは、待ち望んでいた英国ファンには失望だったに違いありません。
ま、フリップのことだし、と達観しているファンもいるでしょうけども。それを考えると、パリで聴けた私は大変幸運だったように思えてきました。

パリのときに書き忘れていたのですが、今回のクリムゾンではある程度映像と音楽が連動しています。といっても、ピーター・ガブリエルのように大掛かりなものではなく、バンドの後ろにスクリーン (というより長方形の布) がかかっており、そこに曲に応じた画像が映し出される、といった程度です。TCOLでは光の波のような画像、LTIAでは日食時の日輪の絵が映し出されていましたが、全曲カバーしているわけではないので、やや物足りなさを感じてしまいます。
もっとも、クリムゾンは今のところそういう方向で見せるバンドではないので、まぁ別に構わないのですが。
メンバーの服装に関しては、全員黒で統一しています。これはアルバムのカラーに合せているのでしょう。

音楽素人ながらも音楽的なことに少し触れると、ちょっと物足りなさを感じる場面がありました。テンションが高くなりすぎてまとまりがつかない、という場面や、音が重なりすぎて整合性に欠ける聞こえ方がしてきたり、という時があるように思いました。もちろん、パリのライヴへの贔屓目的な聴き方とスタンディングで疲れていたということもあるでしょうが。
また、音質的なことも影響しているのかもしれません。私が前の方にいるため音が正面からというより左右の上方から聞こえる、といった現象はライヴゆえに仕方ないことでしょうが、それとは別にちょっとなんとなく音質が良くないように感じてしまいました。

もう一つ余り個人的に気に入らなかった (ちょっと過激すぎる表現ですが) のは、ProjeKct的なインプロヴィゼイションが、全開で弾きまくるタイプのパートが多かった、ということです。
確かに所々フリップの繊細なギターや、トレイの柔らかさがフィーチャーされるフレーズもありましたが、全体的にどうしても、がぁーっと弾いているという感じのするインプロヴィゼイションでした。
そういう曲はそういう曲でいいのですが、どうしてもそういうのが続くと食傷気味になってきてしまう、というのもあり、そういう点においてはパリのときのセットリストの方が良いように思いました。

それでも、力のこもったショウであったことは確かです。
パリの時は細かいところまで見ることが出来なかったのですが、今回は前の方だったのでよく見れました。

パットは怒ったような顔でパワフルかつ繊細なドラムを繰り広げ、P3ライヴ時のフリップの感想がわかったような気がします。
トレイも剛柔を問わずサウンドに貢献していましたし、エイドはギターを真剣に弾きつつも、途中でユーモラスな弾きかたをしたり、歌うためにマイクに近づくときにはいつも必死に照れ隠しをするような表情を見せたりしていました。
フリップは、本人がその夜のパフォーマンスに対してどう評価を下すかはともかくとして、やはり凄いといわざるを得ません。
前述のとおり、私は指さばきが十分見える場所にいたわけですが、速弾きのパートはもちろんですが、さほど速くないパートでしっかりと着実に弾いているところのすごさを改めて感じました。


0. Waiting for the Incarnation of the Crimson King

前述のとおり、7時に入場し、場所を確保したのですが、時々ローディがステージ内を動き回って機材を調整するだけで、まったく始まる気配がありません。
チケットには、"King Crimson with special guests" と書いてあったので、前座があるのかと思っていたのですが、ステージ上の状態からしてそれは無いだろうと思えました。
パリの時のようなフリップのなが〜いチューニングがいったい何時始まり、何時終わるのか、とやきもきしていましたが、予めしていたのか、ローディがフリップの機材の電源を入れてちょっといじっただけで、チューニングは行われませんでした。逆にいうと、何もステージで始まらないまま1時間ほど立ちっぱなしで待っていなくてはならなかったわけで、それはそれで辛いものがあります。

7時50分ごろになると、パットがドラムを調整に出てきたように思いますが、ステージ上が暗いため、はっきりと見えず、他の観客からも反応はありませんでした。

しばらくすると、例のアナウンスがあり、さらに5〜6分して、ようやくキング・クリムゾンが登場です。


1. Into the Flying Pan
パリの時は、病み上がりだったエイドはかなり歌いにくそうに声を絞り出していましたが、今回は声が枯れているような傾向があったもののちゃんと歌えていました。曲が始まってすぐ、フリップは苦笑しながら舞台袖のローディの方に振り返って上方を指差していました。ライティングか音響の具合が悪かったのかもしれません。


2. The ConstruKction of Light
この曲の始まる前には、パリの時もそうでしたがエイドの前に楽譜台のようなものが置かれます。おそらく、歌詞がかかれているのでしょう。歌っているときに、ちらちら見ていました。彼のインタビューで同時にすることが難しい曲だ、みたいな事を言っていたように思いますが、その事が関係すると思います。


3. Vrooom
エイドが客席に向かってちょっとしゃべり、オーディエンスから「21st Century Schizoid Manかいっ?」という声が飛びましたが、始まったのはVrooomでした。
前のときはアンコールでやっていたので、ナッシュビルのセットリストではアンコールでは無かったとはいうものの、ちょっとびっくりしました。
確かこの曲の途中だったとおもいますが、パットが右手のスティックを落としまうハプニングがありましたが、左手でドラミングをキープしつつ、すぐさま拾っていましたので、全体として影響はさしてないようでした。


4. One Time
これに関しては今回の方が、音のまとまりが良かったと思います。
また、エイドのヴォーカルも問題ありませんでした。


5. ImProv.
なんという曲かはわかりません。
確か、フリップの長めのヴィブラートで始まって、フリップ、パット、エイドで弾きまくるようになり、トレイはパットの横で弾きつつも、ヴォコーダーか何かのボタンを押して、単発の人の声のようなものを時折再生するような曲でした。

6. ImProv. [Seizure?]
なんとなくSeizureのような感じがしましたが、間違っているかもしれません。
途中トレイとフリップがフィーチャーされるような感じの部分があり、喝采を浴びていたと思います。

(5と6に関しては、曲の境界があいまいだったような気もしますし、何しろ両方を合せるとかなり長い曲ですし、記憶と印象がごっちゃになっていますので、事実と異なっているかもしれません)


7. Dinasour
今回は出だしのメロトロン的フレーズも綺麗に決まっていましたし、パリの時には声を張り上げていなかった 'Oh Dinasour' の部分も張り上げていました。
やはり中間部は無しで、これはフリップの簡潔さをこよなく愛す故なのかもしれませんが、ちょっと残念ではあります。
中間部にあたるところは、休符の後にいっせいに弾き始めるようになっているのですが、どうしても音が止むと曲が終わったと勘違いして騒ぐ観客もいるわけで、
ブリューなぞは苦笑いをしていました。


8. TWMOSKFWM
やはりスタンディングということもあってか、オーディエンスのこの曲に関するノリはパリよりも良かったように思えます。
Get back...のところの大々的な合唱は起こりませんでしたが、 「フーッ」という所は、あちこちから声が出ていました。私も言いましたが。


9. ImProv. [ProjeKction?]
ProjeKctionなのではないか、と思ったのですが、なんとなくパリのときと印象が違い、あとから P Xを聴くとSix O'clockに似てる気がしないでもありません。


10. ProzaKc Blues
曲の方はいつものとおり、Hooter J Johnson風の声色で歌っていました。私の隣では、アジア系っぽい感じのおっさんが、うぉー、と叫びながらゴリラのドラミングの如く胸を叩いてのっていました。思わず、じろっと睨んでしまい、目が合ってしまったんですが(笑)


11. Cage
やはりアクースティック・ギターをローディが運んできて演奏をはじめます。
オーディエンスの中には最初何の曲かわからない、といった感じの人もいました。
実際、エイドが歌い始めて少ししてから歓声が大きくなりました。
どうも、オリジナルのイメージがあるので、未だに戸惑いますが、逆にスローなペースになっているので、なかなか良いうねうね感ではありました。


12. LTIA Part IV
この頃になると、うーんFraKcturedはやらないのかなぁ、と思ってきましたが、実際この曲が始まってしまうと、もうショウ自体が閉幕へ向かっていることになりますから、とりあえず、FraKcturedのことは脇へ置いといて、耳を傾けることにしました。

演奏の方は神経質さを増しつつ強烈なパワーを発してはいるのですが、エイドは前後左右に動いたり、パリの時もそうでしたが、途中単調になるパートで、照れ隠しににやけながらしながら機械仕掛けの人形のように弾いたりしていました。


13. Coda: I Have a Dream
パリのレビューで書いた、ヴォーカルが主導している感じがする、という違和感が消え、今回は音が曲全体を通じで流れを主導し、ヴォーカルがそこに組み入れられる、という感じなっていました。

パリの時は、この曲が終わったとき、すなわちセットが終わったときですが、「ああ、終わったかぁ〜」と感慨深いものがあったのですが、何故か今回は「もう終わったんか」という、一種の物足りなさを感じてしまいました。
一回パリでライヴを経験したからかもしれませんが。


メンバーが退場した後、アンコールを求めてオヴェイションが起こるのですが、スタンディングの観客には足を踏み鳴らしてアンコールを求める人もいて、私の周りでも何の音かと思って後ろを振り返る人がいました。


Encore 1.
14. Three of a Perfect Pair
アンコールに応えてアクースティック・ギターを持ったエイドが登場し、歓声が巻き起こります。
オーディエンスの中にはさび以外のところから歌っている人もしましたし、complicatedのようなところも最初から私も含めて多くの人が一緒に歌っていました。
また、中間部では、私も含めて他のライヴに参加した観客が率先して、手拍子をうったため、明らかに会場のボルテージが上がっていきました。
今日のセットリストの中で、曲中の盛り上がりという点ではこの曲が一番だったかもしれません。
スタンディングということもその盛り上がりを増幅したかのように思え、中間部の手拍子の全体への広まりがパリの時よりも早かったために、パリ以上に盛り上がったひと時でした。
曲の演奏が終わると同時に、ギターを片手に持ったまま、両手を上げてガッツボーズをして、観客の大歓声に応えるエイド。
すでに、舞台脇にスタンバイしていたフリップも笑顔でエイドに拍手していました。


15. Deception of the Thrush
エイドに入れ替わって、フリップ、トレイ、パットの3人が演奏を開始します。
TOAPPとはうってかわって、いわば演奏に聞き入るタイプの曲だと思いますが、オーディエンスも、良い感じで聞き入っていました。
演奏終了後、トレイが喝采を浴びていたと思います。



Encore 2.
16. SSEDD
オヴェイションとスタンピングに応えて、再びキング・クリムゾンが登場。
観客から '21st Century Schizoid Man!' と声がかかるのを受け流しつつ、SSEDDの演奏を開始します。トレイはスティックを弾いていました。
ところが、エイドのギターのケーブルか何かの付け替えが終わっていないのにもかかわらず曲が始まってしまい、エイドは苦笑しながらヴォーカル・パートが始まる少し手前からやっと弾き始めるという有様でした。
曲の出来事態はなかなか良かったように思います。


演奏終了後、フリップは例の如く、ドラムの横の後ろのほうに下がっていたのですが、他の3人が彼のところへ行き、何か話していました。
なんとなく、エイドがフリップに、「前に行って挨拶しろよぉ」 みたいなことを言ったものの、フリップが 「いや、いい。君がいけ」 といったような感じでし
た。
結局前に出てきて、挨拶を始めるエイド。

観客 「うぉーっ」
エイド 「え〜、今夜がこのバンドの最後のショウなんですが...」
観客 「うぅ...うぃ〜?」
エイド 「ああ、つまり9月にツアーを再開するまで、今日で終わりってことね(苦
笑) ともかく、スタッフのみんなへの感謝あらわすために、スタッフを紹
介したいと思います」 (と、スタッフの名前を挙げる)

焦らすなよぉ。あんたらはそういう実績のあるバンドなんだし(苦笑)

ともかく、歓声に包まれたまま、再び幕間へ引き上げ、更なるアンコールの要求に応えて、再度登場。


Encore 3.
17. Heroes
私の右手の方にいた観客が、'Ohhhhh, 21st Century Schizoid Man!!!' と懲りもせず大声で叫んでいるのを聞いて苦笑しつつ、おのおののパートにつき、Heroesの演奏を始めます。
パリの時もそうだったのですが、さすがにエイドも持ち歌と同じようには歌えてはいませんが、スタンディングの観客には乗りまくっている人もいて、結構盛り上がりました。

3回目のアンコールのために出てくる前に、エイド、パット、トレイの3人が服を着替えたようでした。
そして、演奏終了後にエイドが、ありがとう、のようなことに続いて、「それから、BootlegTVもよろしく」というようなことを言い、背中を向けました。
彼がそのとき着ていたのは、左胸のところと背中に黄色のBootlegTVのロゴがプリントされている、黒いTシャツでした。
エイドはトレイとパットをも呼び、エイド、パット、トレイの3人が後ろ向きで横に並び、それぞれBootlegTVのロゴを見せていました。なかなかユーモラスで笑ってしまいましたが、フリップは舞台の袖の方でたたずんでいました。

その後すぐに4人とも退場し、キング・クリムゾン、ヨーロッパ・ツアーを終了。

パリのときと比べてみると、音楽的に考えても、個々の曲の中には今回の方が良く聞こえたものもありました。また、TOAPPは感動的でさえありました。
しかしながら、オーディエンスの反応や音楽を聴くという目的意識、セット全体を考えたときの総合的な曲の出来、ということを考えた場合、ややパリの時のほうが上かな、と思ってしまいました。
これに関しては、私自身がややパリのライヴを贔屓目に見てしまっている面があるとは思います。

いずれ、ロンドンとパリのパフォーマンスも何らかの形でリリースされるでしょうから、そのときに改めてどう聞こえるか、というのが楽しみです。


ライヴ終了後、帰ろうとしたものの余りに疲労困憊していたので、まずBarでミネラル・ウォーターを買い求めようとしたところ、いささか酒に酔っ払った長髪のおっちゃんが話しかけてきました。

「3日前にジョン・ウェットンとパブで話したんだけどよぉ、今日来るっていってたのによぉ」

まぁ、チケットに記載されていたスペシャル・ゲストというのはジョンが来るの予定だった、というのはまず無いでしょうが、もしそうだったらそれはそれで面白いだろうに、とは思いつつ... パブで話したってのがありそうな話ではあるんですが(笑)


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Abbreviations.
本文中に略語が出てきた場合は以下を参照してください。

TCOL → The ConstruKction of Light
SSEDD → Sex Sleep Eat Drink Dream
TWMOSKFWM → The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museun
LTIA → Larks' Tongues in Aspic
P2/P3/P4/P X → ProjeKct Two/ProjeKct Three/ProjeKct Four/ProjeKct X
TOAPP → Three of a Perfect Pair
BTV → Bootleg TV
エイド → エイドリアン・ブリュー
トレイ → トレイ・ガン
パット → パット・マステロット
フリップ → ロバート・フリップ

-------ライヴ・レポート終わり--------


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