ちゃぁり〜氏の
UKZ, Stick Men 公演レポート
Town Hall, NYC

Jan 24. 2009

(Tony Levin Club of Japan 米国支部発)


ちゃあり〜です。先日ニューヨークで行われたUKZとStickmenの公演のレポー トです。某所で書いたもののコピペですが。

 1月24日、Eddie Jobson率いる新バンドUKZの結成公演を観にいくために ニューヨーク市に行ってきた。前座はTony LevinとPat Mastelottoともう一人の スティック奏者Michael Bernier(NY,キングストン在住らしい)によるStick Men。
 場所はタイムズスクエア近辺のTown Hallというところ。先日のKing Crimson が公演を行ったNokia theaterなどと同様、タイムズスクエア近辺に多数ある劇 場で、集客数は数百人。明らかに空席が目立ち、4割くらいの入り。(クリムゾ ンはNokia で数日の公演があって、連日ほぼ満員であったのと対照的)
 Stick Menは前作Stick Manからの数曲(ややこしい)の他におそらく次作 Stick Menに収録されるであろう数曲(Super Colliderとかいう曲が良かった)を 演奏していた。2人のスティックで相当複雑な演奏をしており、ベースライン や、ソロパート(特にBernier のソロは相当テクニカルですごかった。)は2人 の両方が入り乱れて演奏していたので、ダブルトリオ時のキングクリムゾンの時 よりもスティックが2本ある意味は大きい、と感じた。難をいえばスティックと いう楽器のせいか、どの曲も比較的似たような感じになってしまい、ライブが一 本調子になってしまったきらいがあった。
 休憩時間にTony Levinがサインをしていたので、Stick Manを購入して(もう 持っているのだけれど)サインをしてもらった。客の少ない公演はアーティスト と会話をしたり、サインをもらったりするのには好都合だ。
 休憩が終わり、UKZが始まった。
1. In the dead of night
この曲を聴けて大変うれしい限り。ただヴォーカリストは歌詞の入りを間違えた りとかいささか心もとない。ギターはホールズワースのあのソロの入りを忠実に コピーしているばかりか、「ホールズワースならこう弾く」といった感じの演奏 をしており、この曲を演奏する上、大変すばらしい。Trey Gunn(黒いタンク トップ?とスカート?を着用)の存在感はまったくない。ドラマーはバカテクで あるが、ロック色も強い。

2. Radiation (EP新曲)
キーボードトラブルがあって、1回やり直し。重めの曲。よく知らないんですが ポンプロックってこういうの?って感じ。Trey Gunnが重低音のリフを弾き、格 好よい。中盤で雰囲気が変わってソロ合戦、というのはUKらしくてよろしい。 今の人に売れるかはわからんが、よい曲だと思う。

3. Carrying no cross
ギタリスト退場。まさかこの曲を聴けるとは…。ということでライブを観にいっ た甲斐があった。この曲もあまりTrey Gunnの存在感がないのでほとんどEddie Jobsonとドラマーの2人で複雑な曲を作り上げているという印象だった。

4. Houston (EP新曲)
ドラマーがアコギをドラムスティックでひっぱたいて伴奏するバラード。あまり 見所はないのだけれど、ギターがアンビエントみたいな音を出したりとか、Warr guitarをスタンド上に置いてTrey Gunnがソロをとっていたりとかしていた。

5. Trey Gunn + Drummer ソロ
これは良い。Trey Gunnはスティック奏者らしくパーカッシブで複雑なリフを弾 き、ドラマーと嫌な感じの7拍子グルーブを作り上げていた。私はTrey Gunnと いったらフリップ関係のものしか観たことがなくて、それらでは彼のグルービー な演奏というのはまったく見られなかったので、彼のことをリズム楽器奏者とし て評価していなかったのだが、これは過小評価だったのだろう。

6. Tu-95 (EP新曲)
UKの曲から歌を取った感じの曲。また、バイオリンによるメインテーマはホー ルトーンを基調としていてクリムゾン風味も入っている。

7. Guitar solo (EP新曲の変奏)
Fred FrithやMark Ribotが書きそうな変なコード進行のギター独奏曲と、ギター ループ(フリッパートロニクスの類)を組み合わせてその上でホールズワース調 のソロを取る、ということでこのギタリストの力量は大御所に負けないというこ とがよくわかる。

8. Eddie Jobson solo
一度弾き始めるが、ギターループが残っていたので、これを消してからやり直 し。ピアノ独奏から入って、シーケンサーによるニューエイジ的伴奏に合わせて バイオリン演奏、伴奏がなくなってからはバイオリンではやびき(ただし音色の せいかあまり良く聞き取れなかった)、最後はディストーションをかけて轟音で 終わる、という様式美の極みのようなソロでしたよ。

9. Drum solo
バカテクの一言に尽きる。これからのロックドラマーにはバカテクは必須でしょ う(断言)。この人の演奏も大御所と互角に戦えるのは間違いない。

10. Alaska
スコアどおりの演奏。で、Time to killにはいかず…

11. The only thing she needs
この曲は複雑なパーツを演奏技術で強引にくっつけて、ポップなメロディーで無 理やり曲にした、ということがよくわかった。

アンコール
1. Lark's tongues in aspic part II (with Tony Levin & Pat Mastelotto) なるほど。こうきたか。Eddie JobsonはクリムゾンのUSAでバイオリンのオー バーダビングをしているし、前座はクリムゾンの面々。適切な選曲だろう。
Trey, Tony, Patの3人が共演するのはProjeckt 4以来か!?ドラマーはギター を担当、飛び跳ねてこの曲を演奏するのはちょっと面白い。

2. Caesar's palace blues
Jobsonは健在であるのがよくわかる。

感想
 生Jobsonをみたことのない30代プログレファンとしてはUKの代表曲を聴け ただけでもライブを観にいく価値があった。ただ、今後の展望を考えると課題が 多い。
 UKZはその名の通りUKを意識したバンドだが、メンバーはまったく違うわ けである。ギターはジャズロック変態ギタリスト、ドラマーはバカテクでロック 魂も持っており、適任である。古い曲ではTrey Gunnの存在感はまったくないの だが、ソロとか新曲とかではなかなかの存在感があったので良いだろう。ただ、 ヴォーカリストは大舞台での経験不足がもろに出てしまった感じだ。そもそも UKのようなインストが多いバンドで他の楽器をあまり弾かないのは見た目的に よろしくないだろう。
 4曲入りのEPを自主制作し、音楽関係者の前でライブを初披露し、うまく契 約にこぎつけたらフルアルバムを作成、という作戦なのだろう。曲不足は各人の ソロで埋め合わせたというところか。しかし客の入りを考えるとこのバンドが継 続して活動できるかは微妙な情勢だろう。演奏家としての Jobsonは健在であっ たが、メインストリームを長く離れすぎてしまったため、集客力が期待できなく なってしまったのだ。新曲のいくつかは新しい方向性を示していたので、できれ ばフルアルバムを聴いてみたいものだが…。

-------ライヴ・レポート終わり--------


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